chapter 1  自然界の植物たち


花、草、木、そして虫たち

 

春のおとずれ

激しい雨と風。春一番が通り過ぎると頭の上には洗いたての青空が。

そして春は一度にやってきます。

福寿草の薄い花びらに陽光が輝く姿は、春の幕開けを告げるのにふさわしいでしょう。

スイセンはトランペット型の花を咲かせ快活な黄色を響かせています。

フリージア、そしてプリムラの花が香り、キショウブが咲く水辺では鳥が繁殖のために

家探しをしています。

 

 春は黄色の花から始まります。





スミレとアリ

舗装道路の割れ目に、マンホールの隙間に、スミレが咲いているのを目にしたことがありますか。

土があるかないかのようなわずかな場所に、可憐にそして力強く生きています。

スミレの種子にはエライオソームという滋養に富んだ付属体があり、

アリがこれを狙って巣に運び不要な種子は巣外に捨てます、これで種蒔きができました。

また、小さな種を運ぶのに苦労したアリが途中で種を落としてしまうこともあります。

 

スミレは美味しいおやつで、アリを上手に使っていますね。




 春告げ鳥

雑木林に入ると真っ先に目に飛び込んできたのがシダ類の新芽です。ぐるぐると渦を巻いて、まるで天空と交信するアンテナのように至る所から伸びています。植物の張りつめた空気感に圧倒され、そっと歩みます。
アセビやキイチゴの白い花。ミツバツツジとショウジョウバカマのピンク色が気持ちをほぐしてくれます。
そして頭上にウグイスの声。これには思わず返事をしたくなります。
「ホーホケキョ、春がきたね」
「そうだね、春だね」
姿を追って見上げれば、木々の若葉が淡い緑の重なりを作っていました。

 





植物たちの讃歌

すべての自然が目覚め

私達に世界の美しさを教えてくれる春。

 

植物たちの讃歌が聴こえる。

 

厳しい冬を過ごした木々は芽吹き

枝葉は大きく空へ向かって伸びをする。

 

花はみな太陽に思いこがれ

我先にと大地に根を張り茎を伸ばし、

虫を呼ぶために彩よく花びらを広げる。

 

花花の香りと鳴き交わす鳥の声が

植物たちの讃歌と呼応する。

 

五感に染みる生命の響きに包まれる。

 




バラの季節

色や形,香りの違う数種類ものバラが一面に咲き誇る

そんな庭に憧れます。

でも小さな庭でバラを楽しむなら気に入った1~2本を大切に育てるのが良いかもしれません。

 

深紅の官能的なバラが好きか、淡いピンクの優美な姿に魅かれるのか、

幾重にも重なった花びらのドレスを愛でるのか,

陽光を受けて開いた5弁の花びらに、蜜と花粉を備えて虫を待っている姿を楽しむのか・・・

 

いずれにしてもその花が大好きなら,

 バラはそれだけで庭の女王になります。




雨の季節

しとしと雨降り、

虫たちは葉陰で雨宿り。

ホタルブクロの花の中は雨をしのぐ小さいお家。

 

しとしと雨降り、

水滴の中に小さな宇宙が見える。

キラキラ碧い星。

 

しとしと雨降り、

この一滴は生命のために。




 

花、草、木、そして虫たち 

自然界において、植物、虫、鳥、動物たちは密接な関わりを持ち、いろいろな「見事な戦略」を用いて、それぞれが共栄や競争をしながら生を持っています。

その自然界に私たち人間も一緒に存在していることを、

忘れてはならないと常に思います。

 

最近は以前ほど見ることができなくなったように感じ、

普段、迷惑に感じることもある虫であっても、

その季節いるべきところにいないと心配になります。

その姿かたち、表情、しぐさを静かに見つめ写生していると、「生」への想いが一層深まります。




アトリエのねこ

こんにちは、わたしサト。

あなたのお名前は?

お姉ちゃんのメイ、

世界で一番美しい、

お、な、か‥

あ、これ、新入り若造のノア。

元気すぎて、もう勘弁してってかんじ

今日のお天気はどうかしら…


お姉ちゃんは、背中の上からないしょ話。

ねぇ、ねぇ、

ペンキ塗りはまだ終わらないの?

背中の上って、見晴らし良好なんだって‥

あ~、わたしのカナブンが動かなくなったよ~

座布団+クッションは、何枚あれば、

よく眠れるかなぁ、そこが問題よね…、

ムニャムニャ、 …  おやすみなさい




絵になる姿

春から初夏にかけて花を咲かせる果樹は夏に実を結び、秋に熟します。
花の後の果実は、植物の一生の長い過程の一部分であり、次ぎの世代へ繋ぐためのリレーの始まりです。移動することができない植物にとり、果実は子孫を残すための終わりと始まりの接点です。
実り熟すということは、ひとつの世代の終わりに近づいていることでもあります。そこには、発芽、芽吹き、開花と時を経て成長し、実りまで到達することのできた植物だからこそにじみでる、満ち足りた優美な姿があります。
絵になる姿。
飽食や過剰はなく、生きるために必要最小限の、しかし最大の成果をリレーしている様子を感じます。



冬の庭

冬。眠りについた庭。

寒さと乾燥に耐え、きたるべき春へと命を引き継ぎます。

虫たちは冬越しのために変身し、それぞれの場所を選んで隠れています。

葉の落ちた枝に美しい実が姿を見せ、この実や地面に落ちた木の実は小鳥たちの食物になります。

 

スズメは一年中庭にやって来て害虫駆除に一役買ってくれます。冬の間はそこにメジロ、シジュウカラ、ジョウビタキ、モズ、ツグミ、ヒヨドリにキジバトも加わり、鳥たちはそれぞれに鳴き交わし忙しく餌を探しまわります。

ヒヨドリは柿や南天、千両などの赤い実を好食し、3月になり椿の花が咲くと花蜜を吸います。

早春はこの鳥が縄張りを主張する賑やかな鳴き声で告げられます。

 




猫とネズミ

ある日のこと…

うちの猫が、ネズミを捕まえてきました。いわゆる、

「猫とネズミ」の関係です。

得意げに私にネズミを見せてくれました。そのネズミ、ほんの少し怪我をしていたので、手当てをしました。

ふと、これも何かの縁と思い、モデルさんのお仕事をお願いしました。

2泊3日食事付きの滞在。チーズの銘柄にはこだわって、合意。

モデルさん終了後は、解散です。




ドライフラワー         DRYFLOWER MESSAGE

春から秋は草花をお茶や染料として使うためにドライにして保存しますが、

それ以外に庭で花が楽しめない冬季のためにドライフラワーも作ります。

室内の風通しの良い場所に吊るすだけ、あとは風まかせ。

子供の頃は、田舎の母の実家で祖母、母と共に野山で植物を採集しては、

新聞紙に挟んで重しを乗せて植物標本作りを楽しみました。乾燥した植物は長く保存ができ、そして繰り返し見ることができます。

 

ドライになった花は色や形が変わり、生花とは違った自然の奥深さを感じます。

複雑な形態と微妙な色味。枯れているのに生命は続いています。

じっくりと時間をかけて描きます。